序章
序章、(ある都市の本の歴史の抜粋)
抜粋の一
遠い、遠い過去には、赤い感覚器官と背中に蜉蝣(カゲロウ)の羽を持つ種族がいた。
それは、七千五百万年に遡る。
その時代の地球には月(衛星)が無い為に、地球の重力が今の十分の一しかなかったのだ。
その理由で、現代でも謎の一つとして述べられる。
時より、化石などでしか発掘されない巨大な生物の世界だったのだが・・・・・・。
抜粋の二
月が天文学的な確立で偶然に地球の衛星になったのではなく、ある銀河の惑星の衛星だったのを長い宇宙の旅ができるように造り替えて地球に向ったのだ。
それでも、月は、単なる宇宙を移動する宇宙船ではなく、聖書に書かれている箱舟だった。
なぜ、それほどまで大掛かりなことをしたかと言うと、子を思う親の気持ちだったのだ。
まだ、普通の親と子なら何も問題はなかっただろうが、王家の血筋では障害者では許されなかった。
それでも、王家の血筋では権力を得ようとする者達に祭り上げられる可能性があり。
父親でもある王は、血の涙が流れるほどの悲しみに耐えて、仕方なく、ある星(地球)に赴任させたのだが、星を箱舟にするほどの科学技術がある文明でも、その星を観測するのが精一杯の遠い星だった。
それでも、無事に到着するのだが・・・・。
抜粋の三
第二の故郷として繁栄を謳歌していたが、その星だけでは足りずに、一族の象徴として保存していた月を船から人が住める星に造り替えたことで、ますますと、謳歌するが、衰退は必ず来るのだった。
その時、子孫を残せなくなってきたことで、地球に様々な生息していた生物の遺伝子を使用して擬人を創り出して、様々な産業の担い手に、人によっては、愛玩動物(特に猿の遺伝子を持つ人)とする者もいた。
だが、神をも恐れる禁忌の所業のためだろうか、種の限界なのか、地球の環境に体などが適さなくなったのだが・・・・。
地球と月を捨てる考えになるのだが、その時の様々な方法の一つで、他次元に逃げる馬鹿げた手段を実行する者達がいたのだ。
その時のエネルギーに利用されたのが月の地表だった。
重さに比例して他次元の扉が開くのが発見されたのだが、利用方法に失敗したことで月は次元の底に落ちた。
だが、何時の時代の月なのか分からない。
そこでは、無数の地球がある多重次元世界が存在したが・・・・・。
抜粋の五
不思議なことに月は一つしかなかった。
その不具合からなのか、月人(つきびと)には、左手の小指に赤い感覚器官(赤い糸)と背中に蜉蝣の羽(羽衣)があり。
子孫を残す方法も変わっていた。
それは、赤い感覚器官の導きが示す。
運命の異性だけしか子孫を残せないのだ。
それほど過酷な運命のために、赤い感覚器官は、赤い糸とも言われ、伸び縮みして剣や槍になるだけでなく拳銃の弾まで弾く事ができた。
もう一つある。蜉蝣の羽は、羽衣とも言われ、空を飛ぶだけでなく、他次元にも過去や未来に飛ぶ事もできたのだが・・・・。
抜粋の六
長い時間が流れ、その種族が、擬人の助けや擬人の敵などになる。
そんな、様々の出来事も、神話として微かに残るだけになった。
その地名を現代で例えるのなら、有名な名称の遺跡がある。
青森、北海道王朝であり。連携都市が、岩手、秋田、宮城を含めた所だったのだ。
そして、まだ、発掘されていないが、一万年以上も前から存在する。
この一帯の国の発祥地の遺跡は宮城にあったのだが・・・・・。
抜粋七
山岳地帯の小さな村、いや、里よりも住人が少なく、一族だけが、ひっそりと住んでいる。
それは、同じ姓を持つ家族だけだった。
だが、それでも、その地には千年も続く神社があったのだ。
もう少し正確に言うなら文献と神主の系図の記録として残っているだけで、口伝まで信じるのなら六千万年以上から続いていた。
それを証明できる遺跡が残されているのだ。
(現代で例えるのなら山形と福島の県境の宮城にあったのだ)
それが、神社の裏山の三角山であり、神がお休みになっている山として崇められていた。
そのような由緒ある里(神休み村とも天祖村(てんそむら))なのだが、新天祖南国(福島)と天祖北国(山形)の戦争で、二つの国の県境だったことで、里の成人男性の殆どが徴兵されたのだ。
だが、徴兵を命じる国は、神社よりも新しい国で、千年の間に三度も国名が変わった。新興国なのだった。
戦争が激戦しても二つの国の神官や書物がある時は、国を興した発祥地として敬う気持ちだけはあった。
そして、書物を守る神官が殺され、書物もなくなると、辺境に暮らす蛮族の里としか思われなくなってしまったのだ。
それで、徴兵される者が増え始めた。
だが、数十年前までは神社の関係者の数十人だけになり。
まだ、歴史を知る者もいたが、健康な成人男性がいなくなり、あっと言う間に疫病が里中に広まったのだが・・・・・。